parts assembly 世界自動車危機と部品メーカーのグループ化

久しぶりに会社帰りにフットサルをして大はしゃぎになったせいか、
(ともかく運動は楽しい。本当に。)眠れずあまりに暇なので
携帯でワンセグを起動してみた。実際起動したのは3回目くらいだ。

するとNHKで面白い番組。アメリカ発、世界自動車危機というやつだ。
部品メーカーにスポットを当てていた。
世界的不況による売り上げ減におけるポイントは3つだ。

1.下請けの部品メーカーはどんどん淘汰されている
2.自動車メーカーは打開策として電気自動車か燃料電池車の開発を急いでいる
3.2によってエンジンまわりの部品点数が1車で1万点減る。項目1が加速される。

この3つのポイントの中でNHKがさらに絞ってスポットを当てたのが
三ツ星化成と呼ばれる、どこのメーカーか聞き逃したが内装部品を手がける
モールド(樹脂成型品)メーカーである。

車がどうなろうが内装は無くならない、社長が説明する。
これは期せずして先週自分が大学に会社説明会で説明した内容に似ている。
外装設計
(動力的な機構設計と機能的な外観を設計する外装設計はかなり異なる。)
というスキルは、世の中に工業製品が存在する以上
必ず必要とされる云々。

メーカーの工場は普段自分が仕事で行っている工場となんら変わりはない。
本当に普通の成型工場だ。
社長がスキルがついてきた何十人もの派遣社員を辞めさせなければ工場が
存続できない事を嘆く。塗装ブースのシーンが入る。

話がとたんに面白くなり、おおお、と思ったのは、舞台がアメリカに移った時だ。

部品メーカーの多くは中小企業で、つきあいのある自動車会社からの仕事だけを
頼りにしてなんとかやっている。
これはものすごく多くのメカ的部品メーカーに当てはまると思う。

どこでも使える、村田製作所とかロームとか、ともかく
どんな電化製品にも使用できる論理回路を構成する
抵抗、コンデンサの類、あるいはメカ的な部品であれば
ネジ、であればものすごく様々な相手先がいるかもしれないが
一般的なメカ部品は難しい。

一つ一つメーカーによって部品によって金型が作成されるわけで、
取引先のメーカーは競合メーカーの部品も作る環境は嫌がるだろうし
設計はメーカー主導、コストも叩かれるばかりの立場とも言える。

そんな、発注先メーカーに対して1本の線で、かつ
メーカーから下向きしか繋がっていない状態をみていたアメリカ人の
投資家が登場する。7000億円相当の資金を使って、

エンジンまわりの小さな金属部品がやがて淘汰されてモーターになり、
放熱の必要性が下がり外装が樹脂成形品になる、
コストダウンのために樹脂成型品になる、
軽量化、燃費向上のために樹脂成型品になる
複数の理由から金属加工よりもプラスチック、という流れで
世界各地の成型メーカーを買収するという話になる。

投資家は技術を持った成型メーカーの一つとして三ツ星化成に目をつけ、
そこで話が繋がるのだが、
こういった小さな部品メーカーを
部品メーカーのグループとして束ねていく。

推測だが中小企業には資金面でやりたくても出来ないことが多いし、
例えばオフィスまわりの物を買うことだとしても大口の発注ができるわけでもない。
細かいコストダウンや人事システムなど、全体として効率を上げる仕組みを
新しく出来たグループ全体で行うことが出来ること自体がメリットとなる上、

メーカー間に技術的な交換を行うようなネットワークを作り上げ、
例えば三ツ星化成の持つ技術を
世界各地で生産出来るようにすることが出来る。

これによってグループの重要性は高まり、
グループから部品を自動車メーカーが買いに来るという
立場逆転を狙う、という話だ。

途中、それとは別にGMのエンジンまわりの部品を手がけていた最大の
部品メーカーAUTOCAMの話が出てくる。
このメーカーはすでに自動車部品に見切りを付けメディカル分野への
進出を目指す、と。

そういったまだ余力のあるメーカーは別として
多くのメーカーは好むと好まざるとに関わらず、
買収される可能性があるだろう。

そして投資家は言う。
この危機は一番チャンスだ(買いたたける)
それを乗り越えれば莫大な利益を手にすることが出来るはずです

とにかく、実態の無いカネを右から左へ動かしているだけの投資家と比べれば
その目的は同じでもこの考え方はとても興味深かった。