parallel newage パラレル 長嶋 有

最近本を読んでいて思うのは、
新世代的な作家が少し増えてきたなという事だ。
伊坂幸太朗はもうずいぶんと知名度を上げているので
いいとして、そんなに知名度ないんじゃないかなと
勝手に思っているのは

中村航長嶋有
長嶋有に至っては芥川賞を受賞しているので知名度無いと言ったら
怒られる感があるが、この人たちに共通するのは奇妙な現実感と
僕たちの生活だ。

直木賞の受賞作家の作品の良さを他人に説明するのは
比較的たやすい。その作品はエンターテイメントだからだ。
しかし芥川賞の作品を説明するのは少し難しい。
その作品は精神世界をどちらかというと表しているから。

村上春樹はそのどちらでも無いという事で特出しているように思えるが
まあそれはいつも通り置いておいて、

中村航の作品にはどこかで新世代のロックというか、音楽が流れている。
くるりとかスーパーカー、ナンバーガールとか、その系統だ。
実際には出てこないんだけど、流れてくる。

長嶋有の作品はまだ一作品しか読んでないけれど、
今の時代に非常に沿っていて、よくここまで書けるな、この人
体験を元にして書いたんじゃないだろうか?と思う。

パラで流す、とか一度働かないと出てこない気がしてならない。
パラで検討する、とか。言わないでしょう普通。
題名のパラレルはここから来てるのか?
いや、物語の進行が過去と現在のパラレルでもある。

しかし最後に後書きを見ると違う。

その作品はかつてヒットしたゲームのプログラマーが出てくるのだが
後書きは、長嶋有に取材を受けたゲームプログラマーが書いている。
取材に基づいて書かれた描写がいくつかあるが、
それがそのゲームプログラマーが言ったわけではないのだが
ああ、そうだったかも知れない、と思うような場面がいくつもあり
驚いた、といった内容だ。

これはすごいな、と思う。
何とも言えない喪失感、だけど普通に生活を続けている
非常に現実的な話なのだが、不思議と共感し感銘を受ける。

話の中に、そうだ村上さんに聞いてみようの一説が出てきて面白かった。