whill homestretch 次世代モビリティ『WHILL』の設計お手伝いしてきたよ

後輩に誘われて、モーターショーに出展する
次世代モビリティ『WHILL』の設計お手伝い(6時間だけ)を土曜にやってきた。

whill 既存の車いすに取り付ける駆動ユニット by [EWYC]

結論から言うとほぼ手伝いにならなかったのだが
面白かったのでレポート。ちなみに、手伝いになった顛末は
他にいるメカ設計の人が出張で居なくてとにかく人手が足りなかったらしい。
前日くらいにメッセで誘われた。

町田の1LDK?をメンバーで借りて、そこに小型のNC、ドリル、
安定化電源、オシロスコープ、CADが動くPC2台、とかでやっている。
リビングは配線とアルミの削りかすでいっぱいになっていて、
玄関のドアは多すぎる靴で開きっぱなしである。
狭い部屋に10人近くの人間が居てそれぞれ作業している。

行った日にはテレビ?の取材チームがビデオを回しながら作業風景を撮ったり
インタビューを行っていてさらに狭い。

モーターショーは12月頭、
それまでに動く実機を作るため皆が必死に作業している。

専業でWHILLに携われているのはデザイナーのみの印象で、
皆普通に仕事を抱えているので基本土日がメインの作業日。
これはかなり厳しいと言って良い。外装だけCADでデータを見ても、
1人でやる、かつ量産するレベルだったらぱっと見
週5で3,4ヶ月くらい掛けてもいいくらいのボリューム。

駆動系をきちんと見ていなかったが、
WHILLというシステムはメインがデザインとコンセプト、
アイディアのすばらしいモノ、と
思って差し支えないと思う。あとは動くようにする。

デザイナーのスキルは非常に高くて、
ミーティングで見せてもらった資料そのものから、
またプロトタイプのスケッチからもその実力は
かなり垣間見ることができた。
デザイナーズウィークの風の可視化もこのデザイナーだが、技術的な内容もある程度わかりつつ、
うまいところに落とし込んでいる。それらをモノにしている
エンジニアも良いのだが、エンジニアだけでやっていても
ここまで注目される事は無いと断言できる。

どちらかと言えば、どうやって動いているかとか
そういう内容はユーザは気にしなくて良いものであるべきで
知らなくても良い。まあなんでもそうだけど。
あまり複雑な構造は求められていない。

でもそれを実際に形にするとなると本当に大変。
集まっているメンバーの電気やソフトのスキルは分からないが、
少なくとも後輩のメカのスキルは自分よりはまだ、という感じで
作っているモノも、レベルの高い高専よりは低い。
とにかく設備や掛けられる時間がまず足りない印象。
でも仕事しているから、これはどうしようもない。

モノを作るっていうのは
webでサービスを立ち上げるのとかと違って
本当に時間とお金と空間が必要になる。
それらをモチベーションを保ちつつ続けている事が何よりすごい。
基本これをやっているとプライベートはほぼ無くなる。
両立はたぶん出来ない。

お金に関しても、
メンバーのボーナスを既に数百万円単位でつぎ込んでいる。

facebookの映画を見ていて、
作れる(コード書ける)やつがすごい、と思ったが
そういった意味ではモノを作るっていうのはコード書く、
っていうよりも遙かにハードルが高く、
それらを実際にやってきた人達がこれまでもいるっていうことに
改めて驚く。

それで、
FRPの外装部品がちょうど届いていて、
梱包を開けるとこれはかなりのワクワク感。
やっぱりとにかく動けばすばらしい。
動いているところが見たい。

職業病でこういった試作部品の価格をイメージするが、
モノを見る限り10万円の単位ではぎりぎり桁が足りない気がする。
うーむすごい。

それで肝心のお手伝いだが、
パワースイッチ周りを設計する事になった。

状況を把握するのに30分くらい、
コンビニ行くのに30分くらい、
ミーティングに1時間くらい、
正味CADを触っていたのは4時間くらいか

電機部品スイッチ自体のガタと、
1対1の部品とは言え、隣接する2つのスイッチの
クリアランスと支持方法、その他懸念点がだいぶあったが、
イメージしたモノをCADでモデリングしていった結果、
寸法的にも、モノ作り的にも設計した内容が
実現しない現実に直面したのが3時間後くらい。

結果、
どちらかと言えば現物合わせで切った貼ったの対応しか出来ず
非常に申し訳ない感じになった。すみません。

その日18時頃、制御系がうまく行っていなかったが、
日曜にはモノが動いたという。

今週末どこかで試乗するらしい。
動くといいなあほんとに。がんばって!!!!!!