SED Seriously, Excessive expectancy must be a Disappointment

SED≒FPJ≠TVという構図が浮き上がってくる、
と個人的に思っている。

ああ、このエントリー昨日publishすれば
良かったんだけど昨日発表された延期ニュース
完全に後出しになってしまった。まいいか。

SEDが出るまでテレビの買い換えは待つ、という人。
結構情報通の人で多いんじゃあないかと思う。
まあ待つ前に、と僕は思う。ので書いてみる。

はじめに断っておくとこの件に関して自分は専門家じゃあないし、
完全に傍観者だということを宣言しておきたい。
傍観者と言っても様々で、たとえば都内で20代~30代の人間を
1000人無作為抽出した中では、この件に関して1番詳しい、と
豪語できるぎりぎりラインである。

SED(Surface-conduction display)はご存じの通り東芝とCanonが
開発している新世代薄型ディスプレイの方式だが、
これを使った55インチのテレビが今年春に発売される、
という筋書きだった。
だがここにきて東芝の常務が2006年度中の発売を反対する
という話が持ち上がっている。

東芝の常務が話していることや、SEDのディスプレイとしての特徴や
ニーズについて総合的に解釈してみると、
SED≒FPJという構図が浮き上がってくる、と個人的に思っている。

その構図を説明する前に前置き。
・そもそも、SEDの売りは画質である。
(SEDを他のディスプレイと比較しての画質の良さは、
 コントラスト比の高さと応答速度の良さ、に集約される。)

・SEDは現在、36インチの試作品が数点展示会に出されているのみで
 量産は出来ていない

・発売予定の55インチSEDは、テレビのサイズにすると
 筐体やスピーカーなどで横幅が少なくとも130cmくらいと予想される

・液晶テレビ(以下LCD)の最新機種、SharpのフルHD57インチは最安値
 100万程度で売られているが、
 Panasonicの最新58インチのプラズマテレビ(以下PDP)は
 5月発売で実売70万予想。PDPは現在フルHDに対応していない

・東芝とCanonはSEDをLCD/PDPとは差異化した商品として売り出したい。
 具体的には値段で+10~20%UP。

・これらの事から、まず最初に出てくるであろう55インチの
 SEDテレビの値段は2006年中に出すのなら120万以上だった。
 しかし値下がり率数十%とも言われる薄型テレビ市場で
 2007年に売り出すとすれば60万~100万くらいが妥当と思われる。

・当然のごとくフルHD対応が望まれる

 これらの前置きの時点で、気軽に今年「SEDが出たら買う」って
思ってた人、考え直すんじゃないだろうか。
 値段も値段だが、10歳くらいの男の子の背丈よりも大きいディスプレイを
そんなに手軽における家は少ない。

冒頭の東芝の記事は、量産効果のない新規開発ディスプレイを、
赤字を垂れ流しつつ売るのを避けるための提言であり、言っていることは
全然間違っていない。
問題は、上記の値段でも相当な赤字だろうということに止まらない。

SEDを巡る現状は、
技術的に
・出すならフルHD対応でないと意味がない
・量産出来るのか結構 賭 状態 
であると予想され、

値段的に
・量産出来たとしても東芝Canonしかユーザーがいないため量産効果に
限界があり値段が下げられない可能性がある

販売方法的に
・「画質がよい」と謳っているが明るさは無い。店頭でLCDやPDPと
並べた場合、僕くらいの素人目ではかえってSEDの方が画質が悪いと
感じる可能性すらある

キャノン販売の社長が以前
SEDテレビは液晶/PDPと違う売り方で」という
声明を発表し、
「決して量販店で売らないというわけではないが,
液晶テレビやPDPテレビとは異なる競争軸での売り方を検討する」
とい述べているのだがこれは逆に
「店頭に並べたら売れないかも」という弱気な面も
露呈しているようでならない。

以前日経エレクトロニクスで2010までに40~50インチのパネルコストを
7万円まで落とすという内容が掲載されたのだが、
量産できていないパネルの5年後を予測するのは
かなり賭に近いのではと個人的には思う。

それらを踏まえた結果、
パネルコストが将来的に大幅に下がるとしても、
SEDは当面 比較的大型画面を画質マニアに高価格帯で届ける
という商品になると思う。
そうなった結果、現在家でプロジェクターを使って
シアタールームを構築しているような
人たちとその予備軍が購入の対象となり、実は競合するのは
SXRDやDLPのフロントプロジェクタとなり、
そうなるとSEDとスペックに差が出るのは
コントラスト比くらいになってきて、テレビ市場とはまた別の
路線に潜り込む可能性が高いんじゃないか、ということが言いたかった。

で、SEDにふつうのテレビとして期待するのは2010年くらいまで
待たないといけないかもしれないから、まあそこまで待つのならいいんだけど
SEDが出るから安心、みたいな過度な期待は良くないかもよという話。