rice steamer 炊飯器解散!

中国の人は日本の炊飯器を買って帰る、
みたいな話をよく聞くんだけど、実際壊れた炊飯器を分解してみて
これはなかなかすごいと感じた。象印のもの。

製造業に携わっていると、分解記事とか実際に分解するという
機会は非常に多い。競合他社の製品の内部を見て、
その構造の意味を考えたり、感心したり、そこから得たものを
自分の設計に反映させたりする。
(最後のはまあ悪く言えばパクる、なんだけど、
パクると感じるまでの真似をするという機会は今まで経験が無い。)

非常に深いボスの底のネジを取って開けると、
まず最初にニクロム線?にぐるぐる巻きにされた釜が出てきた
この時点ではああ、単純な構造だなあ釜を暖めるだけか、と感じる。

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しかし分解していくと、
感じるのは非常に丁寧に設計されていると言うことだ。
ネジを取って、爪を探せば部品が綺麗に外れる。
クッションもあまり両面テープを使わず、単体で挟むようにして使っている。
分解しやすい!!!なにこれ!!!爪設計が丁寧!安全率高い!
と思われる箇所が何カ所もある。

当たり前だけど、
分解がしやすいというのは修理をする人の事をきちんと考えないと出来ない。

そして、
複数ある配線のうち、コネクタは全て色が異なっている、とか
コネクタに抜け防止のロックが付いているとか、
電源基板に書き込まれた「はずす」の文字
あるいは位置の決め方など、

随所に工夫されていて
組み立てが非常に簡単に、間違わないように、
わかりやすく出来ている。

いやあこれすごいなあと思いながらさらに分解していくと、
これまで自分が設計してきているものから考えると
異常なくらい補強されている。

PPにガラス繊維入り?の釜そのものの強度もそうだし、
周辺プラスチック部品のリブがとにかく多い。
それに加えて、金属棒を入れて補強している。

内圧と熱がかかるからこれだけ補強して
破壊されないようにしているのか、と思う。

確かに自分が設計してきているものに関して言えば
せいぜい高いところから落下してしまった時に対しての強度であって、
上記のような力はかからないから
未経験の強度なんだろうと思う。

そして分解も終盤の方、取り外しできない方の
内蓋がやたら強固にくっついているなあと
思って開けると、モータが2つだったか、入っている
これ知らなかった。

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取り外しできる方の内蓋に金属の玉が入っていて、かこんかこん
言っているのは聞いていたけどなんか蒸気で動いているのかと思ったら
モータで制御だったのか。
さらに外せない方の内蓋を引っぱがすと、内部に熱電対らしきものと
圧力センサらしきものが入っている。

そうか、確かに釜側には物理的に温度・圧力センサが設置できないし
そもそも加熱部分の近くにセンサ置いてもごはんの温度わかんないなあ、
内部の蒸気温度と圧力を測定してそれをフィードバックしてるのか、と
今まで全くの先入観でもっと単純だと思っていたものが
こんなメカメカしく行われていることに感心する。

プラスチックと缶として出せそうな金属をリサイクルに、
残りを燃えるゴミと燃えないゴミに分別して終了。

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釜は子供がかぶったら面白そうなので取っておいたが、
釜を持って「ごはん、ごはん」と連呼するので
ごはんをかぶせるのは忍びないと思いつつ、
かぶせたらかわいかった。