headphone

DJ向けヘッドフォンをかぶり、
disk unionの袋を下げて携帯をいじりながら
優先席に座っている若者がいたとしても
そいつが何も考えずに優先席に座っているわけではない、
っていうのはなかなかわからないものだ。

代々木付近で乗車してきたその60過ぎの夫婦は
明らかに疲れていて、東京にも慣れていなく
千駄ヶ谷、信濃町と常に停車駅で駅名を気にしていた。
座席はちらほらと空いているのだが二人並んで
座れる席はなく、おばあさんは仕方なく中央あたりに
座る。おじいさんはドア付近に立ち、
二人とも常にお互いと駅名を気にしている。

DJヘッドフォンはおじいさんの隣の、つまり端っこの席で、
おもむろに立ち上がり左方向に消えた。
なんとなく聞いている曲の気分的に、という感じだ。

おばあさんは席を移動してくる。

僕はその隣の席で、四ッ谷駅についたタイミングで
DJヘッドフォンが消えた方向に向かったのだが
彼は優先席に座っていた。

思惑通り夫婦は並んで座れたのだが

こういう人がたくさん世の中に入れば僕の定期も
交番か駅に届けられるのにな、と思う。