簡単なことなんですよ。
ニュートラルな顔をして書生のフライデーのようだな、
と思っていると、税理士は話しはじめた。
「まず、
今のお住まいを会社の事務所として貸し出す、
あなたは不動産収入を得る、
会社は経費で事務所を借りる。
そしてあなたは引っ越すわけです。
引っ越し先は社宅として会社が借りる。
あなたは会社に家賃を払う、
会社は不動産収入を得るけれど
経費で引っ越し先を借り上げる、
ほらね、結果的に経費が増えて節税になるわけです。」
「なるほど、よくわからないけど節税になるわけだね?」
「そうです。簡単なことです。」
「でもなんだか胡散臭いんだけど。」
「非常にクリーンな、正しいやりかたですよ。」
「経費だものね。」
「ええ。経費ですから。」
「五反田君もそれでマセラティに乗っていたものね。」
「ええ。」
そのようにしておおよそ今後の方針が決まった。
今度引っ越すかも知れない。
#いつも書いていますが、
*内容にフィクションを織り交ぜている場合が多々あります。