Mechanical Design 筐体設計ノスタルジー

過去を振り返っている時点でもう現役引退である。
07年に設計した機種を部品一つ一つに至るまで全て分解していた。
自分の部品はたぶん細かく言うと10以上ある。
分解していくと当時の事が色々思い出されてくる。

部品にはそれぞれ担当者がいて、それぞれの担当者の事と
苦労した内容、対策、そして今だから見えてくる設計の良さ悪さ。

自分の考えた構造はこれ以外に無かったのか、と考えてみて
意外と良い線なんじゃないかと思えたのは3分後くらい、3分間は
別の構造が思い浮かんできてインパクトを先にイメージし、
続いて寸法をイメージし、強度をイメージしやはり無理だろうという
結論に達した。

とてもうまくいった機種だ、と後のメンバーもリーダーも
様々な人が伝説的なモデルだと最近でも話している。
メンバーが良かった、という話を自画自賛だが何度も聞いた。
良い設計者がたくさんいた。
なんとなくノスタルジックになり一瞬泣きそうになる。

自分が考える良い設計者というのは、2つある。
そういうのはこの機種でも多く学んだ。

1つは数字をきちんと管理している設計者だ。
管理というか、把握、あるいは覚えている、だろうか。

外装あるいは筐体設計において、部品寸法の
数字はほとんど全て意味のあるもので構成されているが
ポイントとなる部分は実はかなり限られる。
この部分を聞かれた場合に答えられる設計者と、
そうでない設計者では印象が違う。

自分の場合、結構答えられない。
これは意味のある数を選んでいないのではないか?
検討していないのではないか、という印象を強く与えるため
良くないというのはわかっているのだが、
設計時に検討したメモは残っていてもそれが頭の中で残っていない。

ここが分かれ目である。
とても良い設計者はその数字をどういう理由でいくつにしたか、覚えている。
理由をきちんと考察しているし、しているからこそ覚えている。
良い設計者はその数字をどういう理由でいくつにしたか、記録を残している。
良くない設計者はその数字に理由がない。

わかってはいても実行できないのは
良い設計者にはもう1つ種類があるんじゃないかと思っているからだ。

こっちは特にコメントしないことにする。
自分のポリシーでもあるからだ。