クレーターの中は写真でも分かるようにほぼ平らだ。
長い年月をかけて周囲の山が削られ堆積したのか、
あるいは大昔湖の底だったのか、不思議なくらい平坦な環境。
これも不思議なのだが、高い木は存在せず、視界はクレーターの縁まで届く。
雨季と乾季、堆積した土壌の性質、草食動物、そういったものがジャングルに
なるのを防いでいるのかもしれない。
このクレーターにとりわけ来たかったのはわけがあって、
その閉鎖された空間が村上春樹の世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
を彷彿させたからだ。
もしかすると一角獣の頭骨が落ちているかも知れないし、
クレーターの中心には湖があってそこが唯一の下界への
通路かも知れなかった。
実際にはクレーターの中の湖はどこかへ吸い込まれ、
クレーター外の麓からわき出ているのだろう。
クレーター付近はやたらと緑が豊富でプランテーションの場所にもなっていた。
朝7時頃クレーターに向けて出発し、中に入ったのが9時か10時頃だろうか。
砂埃を巻き上げて3時間ほど走り回り、昼ご飯を食べた。休憩は湖の横で。
ダチョウも見かけたが、実際に見るとあれだけ大きな鳥が
いるのはちょっと現実的でない気すらする。
クレーター内部は比較的天敵が少ないのか、
シマウマや水牛の群れは非常に数が多い。
恐らく彼らにとって一番の天敵は人間で、
自然保護地区を出た外の世界で普通に見かける動物は
マサイ族が所有する牛と、その牛たちを追う犬だけだ。
ライオンと子ライオンが何かを食べている様子を遠くから1度だけ発見した。
それにしても、草を食べるだけで生きていける動物がこれだけいるのが
とても不思議。
2,3時間クレーター内を走って様々な動物を見た後、
明日のMeru登山に備えてArushaへ帰る。