nemikuro なからわない

大切な本はamazonで買わないことにしている。
本は店頭には発売日の前日に入荷するのが普通だし
amazonは発売日の翌日か当日に届くのが普通だ
そんなロスはものすごくばかげている。

金曜日昼休み1Q84を机で読んでいると隣のエンジニアが
お!いいですね!と突然言った
単行本に挟まれていたチラシみたいなもので僕が読んでいる本が
1Q84と判断したらしい。

僕も買いたいと思ってました
と言うので ああ と答えておく。
何にせよあまり会社の昼休み読むのには不向きだ。

金曜の夜から本格的に読み始めて5時くらいまで、
次の日起きて読み終わったのは土曜日21時くらいで
まだ頭はもんやりとしている。

事象的に楽しむ本はいくらでも存在するが
精神的に楽しむ本はそれほど存在しない。

ところで妻であるエミクロくんは
村上春樹のハードボイルド・ワンダーランドに
出てくるヤミクロからその名前がつけられているが
本人は「何だって言うのよ」とそのことについては
羊をめぐる冒険の主人公になったつもりで不平を言う。
どうしたっていうのよ?

とにかくすとん、と落ちるように眠るのがこの子の特徴だ。
一番印象的なのは旅行の帰りだ。
僕がハンドルを握って山道を下りながら
ふつう助手席の人って言うのは寝ない、というような事をいつも通り言うと
「絶対に寝ない。歌だって歌う」と宣言して
そのときに流れていたスーパーカーの歌のフルカワミキのパートを
2愛+4愛-サンセット

と歌っていたのだが、その曲が終わり次の曲がシャッフルで
退屈なハウスに切り替わり、3分くらい同じようなビートを聴いていた僕が
左を見ると既に、完全に、寝ていた。
絶対に寝ないが聞いて呆れる。

土日は半分くらい別々に行動していて
僕の行動は単独であることに比べてエミクロくんの行動は単独ではないので
大抵時間に縛りがある。
その結果寝る時間はエミクロ君の方が早い。
これまで僕が先に寝たことは5回くらいだろう。風邪とか。

そして例えば夜中僕が本を読んでいたとしても
PS3で世界中の兵士達と殺し合いを繰り広げていたとしても
PSPで狩りに出かけていたとしても、PCで竹割を構築していたとしても
完全に熟睡してくれている。とてもありがたい。

しかし今日、だるくなってきてベッドで
1Q84を読んでいると、朝4時半くらいに、
左で寝ているエミクロ君が非常にハッキリした声でこう言った。

「のど乾いたなからわない」

のどかわいたなからわない?

全く意味のわからない後半の語句を頭の中で3回くらい再生してから
眠っているように見えるエミクロ君を確認し、
しかし念のためiittalaのタンブラーに冷蔵庫で冷えたボルヴィックを入れて
ベッドサイドに置くと半分寝ている半分嬉しそうな顔をして
それを飲んで、
また全く意識のない眠りの世界に戻っていった。

それを見てから少ししてから、
いつも何か思いついたときにアイディアを書いているノートに
のどかわいたなからわない とだけ書いて僕自身も寝た。