bestseller betterseller not really 良いものが売れているとは限らない

良いものが売れているとは限らない
あるいは良いものを買えるとは限らない
という点について。

例えば2005年に最も売れた本として
頭がいい人、悪い人の話し方が166万部で
その次が確か、さおだけ屋(略)なわけだけれど、
ある程度賢明な読者がこれらの本を読んだとしたら、
その評価は良くないのが当たり前だと思う。
「タイトルだけで売れたんだよ」とか言うかもしれない。
間違いない。

ちなみに僕がこのニュースを確かWBSで聞いたときは
思わずアホかと呟いた。

売れている本って嫌なので買わない、という
はたから見るとひねくれた人間がいたとして、
しかし実際に頭がいい(略)を読んでみると
そういう考え方も間違っていないことに気づく人もいるかもしれない。

例えば同じようにオリコンで10位までに入っている曲を、
あるいはアイドルが歌う歌が売れる日本の現状を馬鹿にする人を、
無視できなくなるかもしれない。

もしくは、映画にとても詳しい人がハリウッド映画は基本的に
駄目、という理由を鑑みる(かんがみる)機会になるかもしれない。

逆に、例えば白夜行がドラマが原因となってベストセラーに
なるのはとても良いことだと思う。あの本は普段活字から
離れている人間には読みきるのがそれほど簡単では
ないだろうし、エンターテイメント性がとても高いだけでなく
きちんとした文学だからだ。

そういう風に考えると、ベストセラーというのは必ずしも
ベストと同期しない。全く。
もちろん良いものである可能性はある。しかしほとんどの場合、
そうでない気がしてならない。

本の場合、あるいは音楽の場合、それらが売られている値段は
コンテンツの良さ悪さに関わらずほぼ同じだ。
そのことで不公平さを感じるか、あるいは
とても良いコンテンツにも低価格でアクセスできるかと考えるかは
その人しだいだけど、まあこれは後者に軍配があがりそうだ。
音楽とか本はとても安い。ちょっと昼ごはんを我慢すればありつける。

同じようなことが例えば家電製品でも車でも家でも言えるのだけど、
これらがさっきの話と違うのは、値段で明らかにその機能だとか
性能、完成度が確実に違ってくるという事だ。
つまり、大抵の場合高いほうが明らかに良い。
それにも関わらず、良いものが売れるとは限らない。

売れないせいでさらに単価が高くなる可能性も、
それ以上の投資が出来なくて状況が悪くなる可能性もある。
なんだかもったいない。

もちろん買うほうは予算の関係で決めているわけで、
安くて良ければ絶対にベストセラーになる。

ということで、なぜ本や音楽あるいは映像で良いもの=ベストセラーに
ならないのかがとにかく不思議だ。
宣伝の仕方なのか、機会が無いからなのか
読むあるいは聞くほうにそれだけの準備が整っていないからなのか、
まあどうでもいいんだけどね。